昨年1年間で21人の患者が多剤耐性緑膿菌に感染し、そのうち11人が死亡したことが確認された大阪府高槻市の医療法人信愛会新生病院。今月14日、国立感染症研究所などの報告によると、原因菌に国内で初めて確認される遺伝子「GES-5」がみられたことがわかった。
(参照:多剤耐性菌 医療従事者による感染報告を義務化)
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院内感染の原因として口腔ケアで使用する吸引器を介した疑いが強いとしており、死亡した11人は多剤耐性緑膿菌が直接の死因ではないにせよ症状を悪化させた可能性があると見ている。今回確認された「GES-5」は、様々な菌に入り込み多剤耐性菌に変化させる遺伝子である。これまでヨーロッパや南米では院内感染の報告もあり、各国で警戒を呼びかけていた。多剤耐性遺伝子は国内だけでこれまで5種類確認されている。
耐性遺伝子は違う菌であっても遺伝子が伝わってしまうため、一度発見された時点ですでに他の耐性菌が次々と増えている恐れもある。院内感染や多剤耐性菌などの現状に詳しい名古屋大学の荒川宜親教授は、他の病院でも感染が広がっている可能性も考えられ、早急な検査耐性などの対応が必要であると注意を呼びかけている。