世界保健機関(WHO)の発表によると、19日時点でエボラ出血熱による感染者数は疑い例も含め9936人、死者数は4877人に達した。この切迫した状況の中、富士フイルムの「アビガン錠」が治療に効果があるとして期待が高まってきいる。
(参照:エボラ出血熱、深刻な医療現場・・・求められる国際社会の継続的支援)
Photo:Ebola virus By CDC Global Health
現在、セネガルでは感染終息宣言が出され、ナイジェリアでも警戒は継続していくものの感染拡大が終息したとの発表が出されている。国境なき医師団によると、回復した患者は1000人に達したという。
エボラ出血熱の治療薬として未承認薬「アビガン錠(一般名:ファビピラビル)」への期待が高まっている。アビガン錠は富士フイルム子会社の富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬であり、ウイルスの遺伝子複製そのものを阻害するというはたらきがある。今月にはスペイン人とフランス人の看護師2人がアビガン錠投与によってエボラ出血熱より回復している。さらに、21日に英ケンブリッジ大学の研究チームが、アビガン錠の投与によりノロウイルスが「致死突然変異誘発」し死滅するとして、研究は初期段階であるもののノロウイルスに対しても効果があるという見解を出している。
富士フイルムは20日、現時点で2万人分のアビガン錠があり、原薬として30万人分程度の在庫を保有していること、これより追加生産も行っていくことを発表した。さらに、11月中旬からは、フランス政府とギニア政府が共同の臨床試験をギニアで始める予定である。