身体だけでなく心にも傷を負わせる性犯罪。被害者がなかなか被害届を出せず、泣き寝入りするということも少なくない。警察庁は今月から試験的に全国5カ所の医療機関に指紋採取用のキットを配布した。このキットを使用することによって確実に性犯罪の証拠を残し、保管することができる。
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このキットの配布は性犯罪の被害者を支援する取り組みの一環となる。性犯罪にあった場合、被害者がすぐに警察に届け出ることができずに証拠がなくなってしまうという問題があった。そこで警察への届け出の有無に関わらず、被害者の承諾が取れた場合に専用のキットで証拠を採取できるようにと今回の対策が行われることとなった。キットは採取後に警察が24時間以内に匿名で受け取り、最長15年間保管する。
平成25年度の強姦被害件数は1410件、強制わいせつは7,672件と前年に比べて増加傾向にある。さらに被害届が出されていないものも含めるとその件数はさらに多い。キットの導入によって、性犯罪被害にあった場合に証拠だけでも残しておけば犯人検挙にもつながる可能性が高くなり、医療機関でも被害者に声をかけやすいなどのメリットが期待できる。