公的医療保険制度には海外療養費という、海外渡航中に医療機関を受診した際の医療費の一部が支給される制度がある。しかし、会計検査院が調査したところ、受給者の約9割の審査記録が揃っていないことがわかった。
(参照:生活保護受給者 ジェネリック医薬品に切り替え)
Photo:Airplane. By Caden Crawford
会計検査院は、2012年度までの3年間に海外療養費が支給された約2万7千人の海外渡航歴などを確認。そのうち約9割にあたる約2万5千人はパスポートコピーや審査記録がなかった。3年間の間に支給された金額は約13億円となり、審査記録がなかった9割の総額は約12億円にものぼる。さらに、海外療養費は短期間のみ海外に行く旅行者を対象としており長期間海外に住む場合は支給対象外となるが、3年8ヶ月も海外にいた人が何度も受給するなどのケースもあった。海外療養費の支給は増加傾向にあり、同時に不正請求も増えているという。
厚生労働省保険局は、不正請求対策としてパスポートの写しや海外の医療機関等に対して照会を行うことの同意書の提出を求めるよう、審査方法の改善の検討を進めている。