今年9月、世界で初めて人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞の移植を行った先端医療センター病院が、2例目に着手していることを明らかにした。早ければ来年の6月にも実施が可能となる。
(参照:再生医療 人材育成のための「再生医療支援人材育成コンソーシアム」を設立)
Photo:My Right Eye (Retina Scan) By hobbs_luton
9月12日に先端医療センター病院と理化学研究所発生・再生科学総合研究センターはiPS細胞で網膜細胞を作り、滲出型加齢黄斑変性の女性患者に移植を行った。患者の経過は順調で同月18日には退院、現在も見え方は良好だという。栗本康夫眼科統括部長はすでに2例目に着手しており、患者から皮膚細胞を採取し、培養している。この皮膚細胞からiPS細胞を作製し、網膜色素上皮細胞に分化させてシート状にするには10ヶ月かかる見通しである。
iPS細胞の可能性は様々なところで見出されている。22日付の英オンライン科学誌のサイエンティフィック・リポーツで発表されたところによると、京都大iPS細胞研究所の山下潤教授ら研究グループが、ヒトのiPS細胞から作った心臓組織を心筋梗塞のラットに移植し回復させることに成功したと発表。これにより、心臓病の再生医療に大きな可能性が広がった。期待が膨らむ中、年内には再生医療に携わる人材を育成する団体「再生医療支援人材育成コンソーシアム」が設立される見通しである。