国立がん研究センターや東京大などの研究チームは、2日付の米科学誌ネイチャージェネティクス(電子版)にて、日本人の肝臓がん患者に特徴的な遺伝子変異を見つけたことを発表。日本人の肝臓がんの新たな原因解明につながる可能性があるとしている。
(参照:腎臓病に高血圧の治療薬が有効 東大)
Photo:Hepatitis B virions with Dane particles By Microbe World
肝臓は「肝細胞」と「胆管細胞」の2種類の細胞から構成されている。一概に肝臓がんと言っても、細かくみれば「肝細胞がん」と「胆管細胞がん」のどちらかということになる。研究は日米共同で行われ、肝細胞がんの患者のがん組織を調査。対象者は日本人、欧米人、米国在住のアジア人など計608人。調査の結果、全体で共通して見られたのは加齢による遺伝子変異だったが、その他に、日本人患者にだけ特徴的な変異も確認された。肝臓がんになる原因としては肝炎ウイルスや飲酒、生活習慣病などの背景要因が考えられる。しかし、この特徴的な変異はウイルス感染とは関係がないという。
国内で肝臓がんは死因の第3位を占めており、1975年以降は死亡者数が急増している。今回の研究結果は、日本人の肝臓がんの原因解明につながる可能性を含んでいるとして、治療のさらなる飛躍に期待が高まっている。