芝浦工業大学機械工学科の山西陽子准教授は、針を使わずに直接皮膚に押し当てるだけの注射器の開発に成功したことを発表した。企業と連携した実用化を目指すという。
(参照:子宮内装着型のホルモン剤 月経困難症と過多月経の治療薬として承認)
注射器と言えば針があり、子どもだけでなく大人でも怖いというイメージを抱える人はいる。針なし注射器はそのような理由でワクチンを拒否する人の接種率向上や、針刺し事故による肝炎ウイルスやHIVの感染リスクを下げるメリットがある。
既存の針なし注射器としては米ファーマジェット社のPharmaJet Stratis Needle-free Injection Systemや兵庫県のライトニックス社のピンニックスライトなどがあり、PharmaJet Stratis Needle-free Injection Systemは18~64歳限定でインフルエンザワクチン接種のみに使用されている。既存のものはバネの力で高速噴射することにより薬剤を投与していたが、多少痛みが発生したり神経を傷つける恐れがあった。今回開発された針なし注射器は、2012年に開発した「マイクロバブルインジェクションメス」を改良。高速噴射により気泡で皮膚に微細な穴を開け、そこから試薬をまとった気泡を注入するというもの。穴は直径は4μメートルほどなので細胞への影響も少ない。皮下注射や細胞への遺伝子導入、治療などに使用できるとして期待されている。