世界保健機関(WHO)の報告によると、8日までにエボラ出血熱による死者数は6346人、感染者数は1万7834人となった。感染者数はこれまでリベリアが最多だったが、今回シエラレオネが上回ったことがわかった。感染の食い止めに対応が追いつかない状況が続き、国境なき医師団(MSF)は医療従事者の補充に国際社会が積極的でないことについて言及している。
(参照:エボラ出血熱 世界各地で広まる研究・開発・啓発活動)
Photo:Chalecos Msf By Jano Fistialli
日本政府は継続的な感染の封じ込めに注力したいとして、防護服の輸送費など850万ドル(約10億円)の無償資金協力を決めたほか、感染拡大防止のために医師免許を持つ外務省職員や感染症の専門家を現地に派遣している。また、自衛隊により6日には2万セットの防護服を輸送機でガーナへ送り出しており、最終的には70万着を送る方針である。
しかし、物資の輸送だけではどうにもならない厳しい現状がある。MSFは、本来総力を挙げて対策に取り組むべき国際社会が実際には現地の人々や流行国政府、NGOにその大部分を委ねてしまっていることを指摘。支援もほぼ融資や施設の建設に充てられており、エボラ出血熱に対応可能な医療従事者が提供されていないことについて遺憾を示している。地域やNGOの医療従事者の訓練はMSFや他団体が行っており、何週間という研修期間により対応が遅れていると訴えている。慢性的な人員不足が以前よりささやかれているが、いまだ改善のめどは立っていない。