三大公害病(*)のひとつとして知られる水俣病。その主な症状である神経性のしびれに、緑内障治療などに使われる薬の成分が有効である可能性があることがわかり、治療薬誕生に期待が高まっている。
(参照:カネミ油症による健康被害 子や孫にも救済を)
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水俣病は神経細胞が傷つくことによって、手足のしびれや神経障害による筋肉の硬直などさまざまな症状があらわれる病気である。原因は工場排水に含まれていたメチル水銀によるもので、これまで治療薬はなく、対処法としては症状を緩和する投薬やリハビリ等に限られていた。さらに水俣病患者も高齢化に伴って症状が悪化しており、神経障害からの原因で歩行が困難になる、しびれがひどくなるなどの訴えも相次いでいる。
環境省国立水俣病総合研究センターの研究によると、緑内障治療などに使われる薬の成分が、水俣病患者のしびれなどの神経症状を緩和する可能性があることがわかった。昨年7月には環境省が水俣病患者の新たな治療法研究に取り組む方針を決め、神経内科や脳神経外科など、最先端の神経医療を取り入れ研究を進めてきている。
*「水俣病」「イタイイタイ病」「四日市ぜんそく」に「新潟水俣病」を加え、四大公害病とすることも多い。