2010年9月2日、愛知県は、医師不足による診療制限の有無について、県内の全332病院を対象に行った調査の結果を公表した。診療制限をしている病院は21.4%。昨年度より若干(20.8%)であるが、増加している。この診療制限にの有無に関しては、調査開始の2007年より悪化の一途をたどっており、その原因とされる医師不足は、産婦人科、小児科だけではなく他科へと拡大しつつあることがわかった。更に、医師不足は、僻地から都市部へと広がりをみせている。
調査は、社団法人愛知県病院協会の協力を得て実施された。調査の結果、診療制限は尾張西部と知多半島の30%が目立っている。また、都市圏である名古屋市でも、今年度は21・2%と診療制限の状況は悪化している。
診療科ごとにみると、従来より問題とされた、産婦人科での診療制限が21・7%と最も高く、小児科も13・5%も多い。この原因としては、産婦人科は、「医療訴訟率の高さ」、「長い拘束時間」などだ。このため、両科では、医師数の減少が以前から問題となっていた。また産婦人科と小児科は女性医師の比率が高く、出産や子育てなどで医療現場から離れる医師も他科に比べて多いということになる。更に、今回の調査では、医師不足は、内科や外科など他科にも拡大している状況が判明した。
愛知県は「医師不足は、へき地医療や産婦人科、小児科だけの問題ではなくなっている」と指摘。そのため、愛知県は対策として、以下の方策をとっている。「ドクターバンク制度」や「医学生に対する奨学金制度の拡充」、 「勤務医の処遇改善」などだ。
今後も、これらを引き続き実施していくほか、医学系の愛知県内4大学と連携し、医師派遣システムの構築などに向けた協議をスタートさせている。
この調査は、2007年度から毎年、調査を行っている。2004年度から新人医師の臨床研修が始まって研修先を自由に選べるようになったことにより、地方で研修する医師が減少する傾向を見せた。このため愛知県が医師の動向状況を把握しようと開始したものである。