厚生労働省研究班の報告によると、新生児科医師の数は地域によって4倍の格差があることがわかった。さらに、新生児医療が破綻する危険性を抱えている地域もあり、医師が働く職場環境の整備や対策が求められている。
(参照:複数の症状を訴える患者の診断方法 過半数以上の医師が「まずは一元論的に」)
Photo:Trinity in the Nursery By Mat Culpepper
厚生労働省研究班は、2014年度の日本未熟児新生児学会会員のうち2707人を対象とした調査を実施。出生1000人当たりの医師数が多かったのは香川、京都、鳥取、東京、秋田の5府県。一方で医師数が不足していたのは茨城、徳島、熊本、長崎、鹿児島の5県だった。最も多かった香川県では出生1000人あたり5.82人だったのに対し、最も少なかった茨城県では1.39人と、その差は最大で4.2倍にもなる。
2009年に文部科学省は24の大学病院でNICUやMFICUを増やす方針を固め、改善に取り組んで来た。しかし、NICUの数だけ増やしても過酷な勤務環境から医師が集まらず、結果的に新生児科医師不足につながっている。また前述のとおり地域によって格差が生じており、新生児医療の破綻の危険性も懸念されている。そのため、女性も働き続けやすいなどの職場環境の整備や対策をしていくことが求められている。