女性医師レポート! -92歳の女性研究者―岡本歌子先生を神戸に訪ねて―

英国でご勤務中の内藤亜由美先生から、ご自身で書かれた ‘ある女性研究者の訪問記’が届きました。読み応え有る魅力的なレポートです。是非ご一読ください!
女性医局では会員の先生方の研究をはじめとした、女性医師ならではのレポートを受付中です。ご自身のレポートをこのサイトから発信してみませんか?

筆者 内藤 亜由美先生 プロフィール

  • 神奈川県出身、順天堂大学卒業。順天堂医院(同小児科学教室入局)
  • 国際親善総合病院勤務を経て渡英
  • 2005年King's Collegeで児童精神学Diploma
  • 2007年University College Londonで児童公衆衛生学修士課程修了
  • 2005年5月よりロンドンにある日系医療センター勤務
  • 現在は医師であるイギリス人パートナーとロンドン在住

トラネキサム酸の開発者は日本人科学者だった

歌子先生と筆者

「トラネキサム酸の開発者を訪ねることは出来ないだろうか?」

2010年初春のある日、パートナーであるIanはロンドンの自宅で興奮気味に私に言った。

当時、LSHTM(London School of Hygiene and Tropical Medicine) の
Ian Robertsの研究チームは、多量出血を伴う外傷患者に対するトラネキサム酸の効果を見る大規模プラセボ比較RCT(CRASH2)を施行していた。2005年5月に開始したこの臨床試験も5年目に突入し、今年中には当初に定めた2万人という症例数が集まり、結果を開封出来るのではないかと期待が高まっている時期であった。そこで改めてトラネキサム酸の歴史を覗いたIanは、実はこの薬が、彼が産まれた1960年台初頭に日本人科学者によって開発されていたことを知った。“自分が産声をあげた頃に産み出された薬、その効果を更に詳しく検証すべく、45年もの時を越えて今自分がその薬の臨床試験に携わっている。これは科学のリレー、歴史におけるバトンタッチだね。”
そんな感動に浸りながらの冒頭での発言であった。

研究の話題は神戸新聞でも紹介されました

遠くイギリスから日本にいる開発者を探し奔走する日々が始まる。

「社会に貢献する研究をする、そして人を救う事ができる薬をつくる」ということを実践した開発者の姿とは?
そして彼を支えた、妻もまた、50年前の日本でキャリアを継続し続けた女性研究者だった。
歌子先生へのインタビューも交えた後半を是非お読みください。


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